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塩ビ素材ガイド:基礎知識~幅広い用途

プロが選ぶ実力素材|暮らしを彩る塩ビの多彩な魅力

 

『塩ビ』 『塩ビシート

聞いたこと無いな・・・というかたも多いと思いますが、

プロの現場から身近な生活空間まで、広く活用されている素材です。

なぜ多くのものに使用されているのか、やまきん太郎がご紹介させていただきます。

 

 

目次

塩ビって何?

塩ビ(えんび)とは

樹脂って?プラスチック?

ビニル?ってビニール??

リノリウムは何モノなの?

塩ビが選ばれる特性・理由

長所

短所

塩ビの活躍範囲

主な用途

作業台としての塩ビ

台…作業台・ワークテーブル・ワークベンチ・机・テーブル

あなたの作業はどうしたい?

RoHS2指令対応塩ビの関係性

山金工業YamaTecの作業台 塩ビ使用天板

まとめ

 


塩ビって何?  エンビって何?

 

 

 

 

 

塩ビ(えんび)とは

ポリ塩化ビニル(PVC:Polyvinyl Chloride)の略称で、

ポリ塩化(えんか)ビニル/ビニール ⇒略して⇒ 塩ビ(えんび)と呼ばれています。

 

原料、樹脂、加工製品、

どれも『塩ビ』と略して表現されるため混同し分かりづらいですが、

PVCは塩化ビニル(モノマー)(CH2=CHCl)の重合体(ポリマー)樹脂です。

 

    ★モノマー:低分子の最小単位  モノ=1つ 
    ★ポリマー:重合体       ポリ=多数

塩ビの略称

塩ビモノマーを700~2500個つなぎ合わせ、塩ビ樹脂(重合体、ポリマー)ができます。

モノマーは不安定な化学物質ですが、付加重合によりポリマーになれば、安定するため

人体への影響もありません。

 

 

重合しただけの樹脂の状態では硬くて脆いので、熱を加えて柔らかくします。

 

 

 ※『熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)』

熱可塑性樹脂:加熱すると自由に変形でき、冷えると再度硬度が上がり再加熱でも柔らかくなる樹脂。
PVC:ポリ塩化ビニル
PE:ポリエチレン
PP:ポリプロピレン

 

 

ちなみに『熱硬化性樹脂(ねつこうかせいじゅし)』についてもご紹介

熱硬化性樹脂:熱を再度加えても柔らかくならない樹脂

 

 

 

 

ビニル?ってビニール??

ビニールと聞くと、レジ袋などのビニール袋をイメージしますが

現在一般的にビニール袋と言われるものは、ポリエチレンやポリプロピレン製で

また別の柔らかいプラスチックのことです。

歴史的に、プラスチック製の薄いフィルム状の袋が初めて出回ったのが塩化ビニル樹脂

であったため、今もその名残で薄いフィルム状の袋をビニール袋と言い続けているのだとか・・・。

なるほど~最初に普及した言葉のイメージは偉大ですね。

 

 

樹脂って?プラスチック?

 

そもそも『樹脂(じゅし)』とは、

樹皮を傷つけると分泌する樹液(脂:ヤニ)が固まったもののこと。

[JIS定義]樹脂=プラスチックの原料

       プラスチック=成形品

今では石油などを原料に人工的に作った合成樹脂のことを樹脂と呼びますが、

もともとは天然樹脂に由来しています。

 

合成樹脂は、人工的に作られた高分子体で、一般的にプラスチックと呼ばるもの。

石油精製の過程で生じる”ナフサ”に化学処理を施すことでプラスチックになり、

人工的に作り出せるため大量生産が可能です。

 

 

リノリウムは何モノなの?

塩ビが登場するまで普及していた素材『リノリウム』は、

亜麻仁油、木粉、石灰石粉、松脂などを主成分とする建築素材で

天然樹脂に分類され、主に床材に使用されます。

 

天然素材で抗菌・脱臭効果も期待できる魅力的な素材ですが、

その分コストが割高で、アルカリ性に弱い特性があるため、

リーズナブルで加工性、耐久性に優れる塩ビがリノリウムに代わって浸透してきました。

ちなみにPart2

リノリウムと〇〇リューム〇〇リューム=塩ビ

 

 

 

 

 

 

 

塩ビが選ばれる特性・理由

長所

  • 耐候性:屋外環境にも耐えるため、紫外線や風雨から電線を守る被覆材としても利用。
  • 耐薬品性:耐酸性・耐アルカリ性で、酸やアルカリ性にも強い。
  • 耐水性:水を通さないため水回りやレインコートにも使用。
  • 絶縁性:電気抵抗や耐電圧性が高く、絶縁破綻しにくい。
  • 難燃性:燃えにくく、自己消火性も有する。
  • 断熱性:省エネタイプの窓枠としても活用が推進されている。
  • 耐摩耗性:化学的にも安定し自然環境下の耐久性に優れ、耐用年数50年以上。
  • 耐衝撃性:硬質PVCの場合には耐衝撃性は低いが、ゴム成分を加えることで衝撃強度も高まる。
  • 加工性:バツグンの加工性だけでなく、着色性や印刷性にも優れ、硬質・軟質と様々な製品を作ることができる。
  • 極性:様々な機能性樹脂と組み合わせられ(相溶性が良い)、新たな性能を形成できる。
  • 再生性:リサイクル可能で、PE(ポリエチレン)等に比べ省資源・省エネルギー
  • 経済性:コストパフォーマンスが高い

 

短所

  • 耐酸性・耐アルカリ性などの無機薬品には強いが、有機溶剤には弱いため
    アセトンやトルエン、クロロベンゼン等と接触する場合には使用できない。
  • 耐熱性:耐熱温度は60~80℃と低く、高温・低温での使用には不向き。
  • 難燃性がメリットである半面、廃棄処理時のコストはかかる。
  • 間違った情報が広まった過去により、悪いイメージを持つ人もいる。
    問題は払しょくされ※3、むしろ省エネに貢献する環境に優しい素材と見直されている。※4
    *不完全燃焼を軽減させるため、焼却炉の性能向上と、分別収集は要対応
  • 可塑剤※※への規制がある。※5

※※…可塑剤(かそざい):樹脂やゴムなどの材料に柔軟性や弾性を与え、
加工しやすくするために添加される添加剤のこと

 

※3…

①ポリマーである塩ビ樹脂は安定した個体で人体への影響もないが、

原料のモノマーは高圧ガスで不安定なため安全管理が必要とされている。

塩ビモノマーと塩ビポリマー(樹脂)は全く別物であるが、塩ビ樹脂、塩ビ製品が

モノマーの危険性と混同されていた。

 

②1990年代、『塩ビを燃やすとダイオキシンが発生する』と間違った解釈で

悪ものにされてしまったが、ダイオキシンの発生は

何を燃やすか、ではなく どう燃やすか、が問題であることが判明。

800℃以上の高温で燃やせばダイオキシン排出は抑えられることが分かり、

今ではダイオキシンという言葉も聞かれなくなった。はぁよかった。

 

 

※4…

塩ビ樹脂は他の樹脂よりも異物の混入による影響を受けにくく、

配合剤によって異なる用途にも加工しやすい。

そのため、再生のしやすさだけでなく、再生用途が多岐にわたり、リサイクル特性に優れた素材と言える。

 

 

※5…

塩ビに含まれる可塑剤が有害であるとされ、一般的には20~30種類ある中で

特によく使用されるフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)は、安全性は確認されているが1990年代から規制の対象に。

今は、耐熱性能が必要なものには熱で溶け出さない可塑剤を使用するなど、

製品に要求される性能のものを使用し、人体への影響が少ない可塑剤に変わってきている。

その一環として、後述のRoHS2指令対応の塩ビシートにつながる。

 

 

 

塩ビの活躍範囲

 

塩ビの活躍範囲は、私の心ほど広く(笑)あんなものからこんなものまで、

思いもよらないところまで、実は塩ビのお世話になっています。

 

分類

素材を柔らかくする可塑剤 添加の有無により

常温でも軟らかい軟質塩ビ(Flexible PVC)と

硬い硬質塩ビ(Rigid PVC)に分類されます。

 

 

幅広い用途例

水道管・雨樋・パイプ・建材・自動車部品・文房具・クレジットカード

縄跳びロープ・工業用ホース・電気コード・カバン等の合成皮革

医療用チューブ・農業用ビニールハウスフィルム・食品用ラップフィルム・レインコート

水道管パイプ

パイプ・水道管

硬質塩ビ クレジットカード

クレジットカード

軟質塩ビ 合皮

合皮

軟質塩ビ 床

一言に『塩ビ』と言っても、いろいろな顔を持つため、

ありとあらゆるものに使用されていて驚くべき素材です。

 

 

 


 

作業台としての塩ビ

これだけ多様なメリットのある塩ビは、作業台の表面材としても非常に活躍しています。

床材としても丈夫で長持ちな塩ビは大人気ですが、

その特性から、作業台の天板表面材としても売れっ子です。

 

 

台…作業台・ワークテーブル・ワークベンチ・机・テーブル

 

調理台、物置台、ちゃぶ台、実験台、化粧台、テレビ台、たたき台(?)違うか

日常生活・仕事・趣味、どんな作業をする場合にも、

人はなにかと、作業をする『台』、ものを置く『台』を使っていますよね。

その『台』表面の素材について、必要な要素やこだわりがあれば注目されますが、

あまり深く考えたことは無かったな…という方も多いのではないでしょうか。

 

台の天板素材には種類がたくさんあります。

  • メラミン
  • スチール
  • ステンレス
  • ポリエステル
  • 塩ビシート
  • ケミテクト(アクリル系樹脂)
  • 積層合板
  • 木材(無垢、集成材、突板)
  • ガラス
  • セラミック
  • 大理石   …などなど

 

家庭のテーブルでは木材やメラミン(プリント)、ガラスなど、インテリア・風合い重視、

事務作業が中心のオフィスで使用する天板であれば、メラミンやポリエステル製が多いです。

 

何か ”ものを置いて作業をする” 場合には、

物が動かない(滑らせたい場合は除いて・・・)

傷がつかない

気を使わない

といった作業のしやすさが重要な要素に!

そこで重宝されるのが、今回の主役『塩ビ』です。

 

 

あなたの作業はどうしたい?

弾力性があり、滑りにくく、積載物を傷つけにくい素材で  精密部品や小物の組立作業に適し、  作業台として非常にニーズの高い表面素材です。

 

 

作業中に滑らないようにしたい・・・塩ビは最適!

薬品が垂れることもあるけど・・・塩ビは薬品にも強い!

汚れるのでしっかりと水拭きも大丈夫かな・・・塩ビは耐水性!

長年愛用していきたい・・・塩ビは長持ち!

精密機器なので、保護したい・・・塩ビは衝撃も吸収!

角張った積載物なので、大表面に傷をつけてしまいそう・・・塩ビは丈夫!

 

作業に伴う『したい』に応じてくれる塩ビです。

 

 

 

RoHS2指令対応塩ビの関係性

■ RoHS2指令とは?

RoHS2(EU指令2011/65/EU)は、電子・電気機器における有害10物質の使用制限を定めた規制で、以下の物質が制限されています。

①鉛(Pb)

②カドミウム(Cd)

③水銀(Hg)

④六価クロム(Cr6+)

⑤ポリ臭化ビフェニル類:PBB

⑥ポリ臭化ビフェニルエーテル類:PBDE

⑦フタル酸ビス(2-エチルヘキシル):DEHP

⑧ フタル酸ブチルベンジル:BBP

⑨ フタル酸ジブチル:DBP

⑩ フタル酸ジイソブチル:DIBP

 

 

塩ビとRoHS2の関係

塩ビには、樹脂を柔らかくするために可塑剤(かそざい)が添加されており、

従来は塩ビシートの可塑剤と言えば、フタル酸エステル系が中心でした。

しかし、フタル酸エステル系がRoHS2規制対象物質に加わったことから対策が必要に。

 

対応の必要性

  • 電子部品製造・検査エリア
  • 医療・医薬品の包装・製造
  • 欧州向け製品を扱う企業

上記のような業種では、RoHS2対応の設備・材料使用が推奨・必須となるため、

作業台の天板素材や床材選定にも影響が出ています。

 

可塑剤に規制物質が使用されている塩ビシート天板である場合、

その作業台上で製造などを行うと、商品部品に使用していないにもかかわらず、

規制物質が商品に移ってしまう可能性があります。

そこで、フタル酸可塑剤を使用した『RoHS2指令対応 塩ビシート』が登場。

塩ビシートの天板を使用したいけれど、RoHS2指令対象の商品を扱っている…

というお困りには、RoHS2指令対応の塩ビシート天板が役立ちます。

 

 

山金工業YamaTecの作業台 塩ビ使用天板

「塩ビシート天板」と言っても、複数の天板があります。

YamaTec塩ビシート天板ラインナップをご紹介。

塩ビシート天板一覧

 

RoHS2指令対応塩ビシート天板詳細を見る

★ワゴンもあります(こちらは固定式)

★移動しやすいキャスター付きワゴン


まとめ

 

塩ビはコストパフォーマンスと耐久性・耐薬品性をはじめ

多岐にわたる性能に優れた万能素材です。

RoHS2対応といった近年の法規制への配慮も製品選定の新たな基準となりつつあります。

 

何かお手伝いできることがあれば、ご相談ください。商品についてのお問い合わせご相談は・・・

用途・環境・特性に応じて、合うものを探してくださいね。